本人の葛藤【Vol.9】
前回のコラム「Vol.8 環境を整える」では、生きるエネルギーを溜めるための環境を整えることについてお話させていただきました。
安心できる生活環境を整えることで、さらに家から出なくなって、ひきこもりの状態が続いてしまうのではないか。
家での生活が保たれ、自分の好きなことだけをしていれば、苦労や困りごともないだろう。
ご本人に対して、そのように思われるかもしれません。
しかし、どんなに衣食住が保たれているとしても、ひきこもり状態のままで良いと思っているわけではないということが、ご本人たちの現状に近いものかと思います。
なぜなら、不自由のない生活=安心できる生活 というわけではないからです。
ご本人の頭の中では、常に考えをめぐらせています。
自分はこれからどうなってしまうのか。
何とかしないといけないとは思っていても、何から始めたら良いのか。 など
思いを巡らせて、「何かをしなければならない」と思って動き出そうとしても、いざ現実に直面すると、動き出すことへの恐怖心や不安感が強くなり、なかなか行動に移せないという場合が多いです。
ご本人は、何も考えていないわけではなく、日々自分との葛藤をしています。
まずは、ご本人が感じておられる気持ちを想像してみるところから始めてみませんか。