ひきこもりが回復するまで⑤~動き出し期の過ごし方~【Vol.29】
ひきこもりの状態にも、段階があります。その段階に応じて、適切な関わりをすること、焦らずに丁寧な関わりを続けていくことが、回復の近道だと考えています。
今回のテーマは、ひきこもりからの回復プロセスのページで紹介している内容を含んでおります。まずは、こちらのページをご覧の上、お読み下さい。
ひきこもりの回復プロセスにおいて、最後の段階となるのは、動き出し期です。
動き出し期は、ご家族との関係性が回復してご本人のエネルギーが溜まった時や、ご本人自身が「このままではいけない。なんとかしないといけない。」という覚悟に至った先に訪れる時期です。
この時期になると、他者との交流を持つことや、自分なりの社会参加が徐々に可能となっていきます。支援機関と繋がり、試行錯誤しながら、居場所やアルバイト等に行くことができるようになっている状態かもしれませんが、まだ、ご本人のエネルギーが完全に回復しきれていないことも多く、動き始めたとしても、全てが順調にいくとは限りません。
チャレンジがうまくいかなかった時、ご本人の心情としては、「やってみたけど、やっぱりうまくいかなかった」「失敗をしてしまった」「自分はもうダメなのかもしれない」と落胆してしまうかもしれません。
ご本人が、勇気を出して一歩踏み出してみたこと、新しいことに挑戦したということは、本人がその時にできる精一杯の努力をしたこととして認めていただくにふさわしいことだと思います。
葛藤しながらも、一歩を踏み出した経験を失敗体験で終わらせないためには、ご本人のペースを尊重し、ご家族が先走らないこと、これまでお話してきたプロセスと同様に、寄り添い、見守る姿勢で、ご本人とのコミュニケーションを継続していくことが大切です。
ご家族としては、本人の言動に対して、一喜一憂しがちですが、この時期は、期待しすぎず、焦らずに、日常の生活を大切にすることや、本人の不安な気持ちを受け取りつつも、その時にできることは何か、ご本人と一緒に考えていくことが、ご家族の出来ることだと言えそうです。
上手くいかなかったことで自信を無くしてしまい、またひきこもってしまったとしても、動き出しの経験を積んだことによって、以前のひきこもりのステージに戻ったのではなく、また別のステージに進んでいることが多いです。
動き出し期以降のステージや状態でのご家族の関わり方のポイントやコツについては、次回のコラムで、またお話したいと思います。
センターへ来所していただく面談や、居住地域への出張相談も、随時行っています。
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