適切なコミュニケーションの回復に向けて【Vol.27】
前回のコラム(Vol.26)では、暴力行為への対応について、お話させていただきました。
今回のコラムは、暴言や暴力行為への対応から、適切な距離感でコミュニケーションを取れるようになることを目指していく過程についてのお話となります。
ご本人から、暴力行為や暴言を受けたご家族は、ご本人に対する刺激を避けようとするため、コミュニケーションを極力取らないようになってしまいます。
ご家族からの刺激が減少すると、ご本人にとって暴力行為を伴って訴えることによるメリットが少なくなるため、暴力行為の頻度は減少していきます。
ただ、依然として、ご本人とのコミュニケーションを取ることができないという状況は継続されることが多いため、家族との関係が回復しているとは言えず、「本人の暴力行為がなくなったから、安定期に入った」とは言い難いです。
暴力行為に至っているという出来事の中には、ご本人の状態を推測できる様々な情報が含まれていることがあります。
暴力行為を再び起こさせないことだけではなく、どのような言動がご本人の暴力のきっかけになっているのか、振り返りを丁寧に行うことが、コミュニケーションの回復に向けて、大切なポイントになります。
とは言え、これまで支えてきたご家族だけで状況を変えようとすることは、とても難しいことと思います。
ご家族としてできることは、地域の支援機関、専門機関へ相談に繋がり、どのような形で、ご本人とのコミュニケーションを回復していくか、ご本人を支えていくために、地域での生活を継続していくために何ができるかを、支援機関と共に模索しながら、生活の中で実行していくこととなります。
過去に暴力を振るわれていたという経験があると、また粗暴的になるのではないか、と不安になり、毅然とした対応を取ろうとすることに抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。
ご家族には、ご家族の人生があります。
ご家族が一人の人(生活者)として、楽しみや幸せを見つけることを最優先にして、適度な距離感で、ご本人との関わりやコミュニケーションを継続していくことが、大切なことと思います。
「自分たちの関わり方が心配」「本人とのコミュニケーションを回復するためには、どこから始めればいいの?」など、お困りの際には、一度ご連絡ください。
センターへ来所していただく面談や、居住地域への出張相談も、随時行っています。
ご相談お待ちしております。