暴力行為への対応【Vol.26】
Vol.23以降のコラムでは、ひきこもりの回復過程として、混乱期・安定期の状態や関わり方について、お伝えしてきました。
ひきこもり始めの混乱期には、ご家族も動揺してしまうため、なんとか社会と繋がらせようと、ご本人の動きを急かしてしまう傾向があります。
結果として、家庭内でコミュニケーションがうまく取れず、本人が自分の気持ちや、要求を伝える手段として、暴言や暴力行為に至るといったケースも少なくありません。
今回のコラムでは、暴力行為が見られるときの対応について、お話したいと思います。
これまでのコラムでは、“ご本人のありのままを受け止めること”の大切さをお伝えしてきましたが、暴力行為が見られている時には、暴力を甘んじて受け入れることは、ご家族にとっても、ご本人にとってもよい方法ではありません。
【家庭内暴力が起こった時のご家族の対応】
*以下は一般的に言われていることです。実際に対応を取る場合は、詳細な注意点などもあります。また、個々のご家庭の状況により注意すべき点も異なりますので、すべての方に当てはまるものではありません。
- 「暴力は嫌だ」ということをはっきりと意思表示する。
・毅然とした態度で、暴力行為に対して、拒否をする。
・「暴力はダメ」ではなく「暴力は嫌だ」。
相手の行動を否定するのではなく、拒否をしましょう。
*暴力行為によって本人の要求を通すというサイクルを止めることが重要。 - ご本人からの暴力がひどい場合には、一時的にその場を離れて避難する。
・暴力を力で抑え込むこともよい方法ではありません。
*ご本人と距離を取り、一定の時間を置くという勇気を持った行動が、ご家族だけでなく、ご本人のことを守ることにも繋がります。 - 状況に応じては110番通報をする。
・逮捕して罰してもらうのが目的ではなく、本人、ご家族の身の安全を守るため。
・事前に警察に相談しておく。
・ご本人にも、暴力があった場合は、通報することをお伝えしておく。
*周囲の目もあり、消極的になりがちですが、警察に介入していただくことが有効な場合もあります。
一度暴力行為を受け入れてしまうと、ご家族への暴力行為が常態化してしまう可能性が高く、この先のプロセスで目指していくような家族関係の回復や家族間のコミュニケーションが、難しくなってしまう恐れがあります。
暴力行為が起きた時に、適切な対応を取ることができるよう、事前にご家族が、相談や準備(例えば、避難した後はどうするのかについて学んでおく等)をしておくことが大切です。
暴力行為が見られている時こそ、ご家族だけで抱え込むのではなく、専門機関へ相談に繋がることが最も重要です。
身近な方のひきこもり状態に関して、お困りのことがある際には、一度ご連絡ください。
センターへ来所していただく面談や、居住地域への出張相談も、随時行っています。
ご相談お待ちしております。